
平成11年9月20日に行われた、理学博士・中嶋常允さんと随筆家・本間千枝子さんによる対談。
中嶋 常允(なかしま とどむ)理学博士。農業科学研究所所長。1920年生まれ。農林水産省リフレッシュビレッジ協議会顧問、「土づくり委員会」の委嘱委員、厚生省「食品中の微量元素の安全性に関する研究委員会」会長などを務める。科学技術庁長官賞、発明奨励賞など受賞。著書に『間違いだらけの有機農法』(文理書院刊)『はじめに土ありき』(地涌社刊)などがある。
本間 千枝子(ほんま ちえこ)随筆家。1933年生まれ。『アメリカの食卓』(文藝春秋社刊)で、1982年に第4回サントリー学芸賞を受賞。『父のいる食卓』(文藝春秋社刊)、『嫁と姑の食卓』(主婦と生活社刊)などを出版し、主婦兼執筆家として活躍。特に主婦の立場から書かれたエッセイ風の食卓文化論は好評である。夫・本間長世さん(東京大学名誉教授)、二男一女の母。

-
本間:先生に初めてお目にかかったのは、日本フードサービス学会のシンポジウムの時でした。
-
中嶋: そうでしたね。
-
本間: 先生の講演をうかがって、先生も私のショートスピーチに、アメリカの事でしたが大変興味をもっていただいて、それ以来私は先生の指導されている農法の野菜に、興味関心以上のものを持つようになりました。先生が私に色々送ってくださった農産物。お野菜・フルーツは、我が家にも4~5人の食べ手がおりまして、いちいちコメントを聞いていますと、味わいと新鮮さの上で市販の品と格段の差があるんです。オレンジやトマトにせよ、辻さんの所のグリーンのルッコラにせよ、茄子にせよ、ごぼうもですけど、頂いた後の気持ちが何か、自分の血全体がきれいになったという感じなんです。すがすがしい気分で元気になってくる。その上味わいは濃いし、甘いし。先生の農法というのはまず、どう言うところから手掛けられて、どう言う目的があって始められたのですか。
-
中嶋: 戦後ですね。食糧が足らなかったので農業政策と言うのは、いかに収量を上げるかが非常に大きな命題でしたので多肥・多収、要するに肥料を沢山やると沢山穫れると言う考えがあった。ところが肥料を沢山やっても中々ある一定の段階から収量は増えない。逆に病虫害が非常に増えてくる。農家が悩みを持つようになった。それはなぜなのかと、私は経済学が専門というわけではないが大学の時そう言うのがあった。ケーネーの法則とは投下資本が増大すればするほど、収量は増加するというのが原則ですよね。それとは逆行しているので何かそこに矛盾があるんだろうと、私は全然農業というものを勉強していないので植物の生理から勉強してみようと植物の生理から入っていちばんビックリしたのは人間の血液のヘモグロビンの分子構造式と植物の葉の葉緑素の分子構造式が、まったく同じなのですね。
-
本間: そう言うことがあるのですか。
-
中嶋: クロロフィール環の中に植物の場合には、マグネシウムが入っていて人間の場合には鉄が、まあ人間ばかりでなく動物の場合ですね。これが入れ替われば緑の色が赤い血の色になるかなと直感したんです。先般、日本の血液学の森下敬一さんと対談したときに言っていました。マウスに野菜を食べさせると腸の中は真っ青している、ファイバースコープを入れて見ると。ところがその外には赤い血が流れていると。私も緑が赤い血になるかなと思っていたので、やはり同じ発想だったんですよ。植物にマグネシウムという肥料をやっているのかなと、調べたことがあるのです。それを探してやってみると中々面白いんです。やっているうちにマグネシウムというのはアルカリイオンで石灰と同じだと。日本の土壌は、酸性土壌だと言ってさかんに石灰をやっていたけれども、調べてみると石灰の欠乏よりマグネシウムの欠乏の方が多かった。それを農水省に話して苦土石灰、マグネシウムを入れた石灰を推奨して国がそれを使用、指導していくうちにたまたま農水省の九州の農業試験場の環境部長に会って、農水省でも試験をしてもらうと決まった時に、英国のローサムステッド試験場で1945年世界の国際土壌肥料学会があって、その時に作物に必要な栄養というのは、多量の要素としてチッソ・リン酸・カリ・石灰・苦土・硫黄の6つがあり、微量必須要素として、鉄・亜鉛・銅・マンガン・ホウ素・モリブデンの6つがある。全部の植物に必須成分が、12の元素が必要だということが国際土壌肥料学会で決まった。ところがまだ日本では多収穫を願ってチッソ・リン酸・カリだけやっている。今もそういうのがある。肥料はやっても他のものが欠乏している。それが今も病気の1つの原因となっている。そう言うことをしないとダメだと私は言いつづけている。今盛んに皆さんミネラルと言っていますが私は昭和34年に微量ミネラルの研究を、研究所を作って始めている。
-
本間: もう40年も前…
-
中嶋: 40年前からミネラルの問題に取り組んでいる。ミネラルのバランスを調整していくと完全な栄養状態になると作物は病気にならない。また食べてみると非常に美味しい。
-
本間: それが驚きですね。最近は有機野菜と言うだけで非常な商品価値を持っているように見えますが、有機農業で育てると葉は穴だらけ、形はいびつでもこれは有機野菜だから、あたりまえのように思っている人びとが多いのです。食べてみるとひどくまずいとは思わないけれどキャベツの葉がとても硬かったり、人参が繊維でごわごわだったり、それでも大威張りのようなところもありました。そうすると先生、本当に健康な野菜であれば、形もいびつにならない、虫もほとんど大丈夫、そしてみずみずしいですね。
-
中嶋: ならないんです。虫も食わない。キュウリは真直ぐに育つし曲がったものはほとんどなくなる。だから栄養失調か日照不足になると曲がるのです。
-
本間: 確か先生が指導なさっている農家の方のキュウリを拝見させて頂きましたが皆本当に真直ぐ、形だけでなく野菜の性格も真直ぐだろうと思ったのです。
-
中嶋: 心が自然の中で融合しているのです。だから有機農業とか無農薬栽培と言って虫の食ったのが本物ですとか、曲がっているから本物ですと言うのは、本当の植物のいのちの働きと言うのを知らない人が言っている訳です。これは15年位前にあまりにも皆が間違っているので、「間違いだらけの有機農法」という本で本物の野菜とは、こういうものですよと書いて、一般に示したわけです。今でも皆さん間違われていますけどもね。あれはたまたまどうしてなったかというと有吉佐和子さんが農薬の概要を書いた本がある。
-
本間: 『複合汚染』ですね。
-
中嶋: それから医者が、農業を始めたのです。家庭の廃棄物を堆肥にして畑に使ったのです。そうするとキュウリが曲がった、曲がるのは太陽の光を受けて曲がるのだろうと、なんかそう言う変な事を加味して曲がったのが本物だと言ったんですね。虫が食うのは虫が食うほど美味しいのだ、だから虫が付くのは当たり前だ。そう言う考えはまったくの間違いで本当に健康な時には、病気とか人間もそうなんですが、風邪もひきません。ウイルスも受け付けません。生態は生体防御機能がありますから。生命にはフィートンチットとかファイトアレキシンと言いまして、匂いを出して拒否するのです。虫を寄せ付けない。ファイトアレキシンというのも、分泌します。だから農薬のいらないような物でなくてはならない。農薬を使いたいけど半分にして使った、それが良いのだと言う考えは間違い。人間でも薬がいらないような毎日健康な生活が本当だが。薬を使うのが当たり前だと言う考えが、今流行しているのです。
-
本間: 先生ご指導の野菜と言うのは味わいが非常に豊かなので、お料理の仕方もとても簡単に済むのではないかと思います。現在は調味料は優れたものがいっぱい出てきていますから、ただ醤油なら醤油をかけていただく、それだけで、満足してしまうと言うところがあります。
-
中嶋: それが本当だと思います。だから塩とか、醤油、味噌と言うものだけで良いのであって調味料が要るということは、そのあじを味覚を麻痺させる。味覚が完全なものでないので、それをなんとか満たそうとしているわけです。生命とは生きていくのに欲望と言うのが有りまして欲望には3大欲望として、性欲・食欲・物欲があり、性欲は子孫を維持するため、食欲は肉体を維持するため、物欲は環境を守るため、食欲と言うのは本能的な味覚の官能があるわけです。食べ物は食べた時に味覚の官能を満足させるものでなくてはならない。本間先生が学会の時に世界中を廻って本当に美味しいものを1度食べたらもう半年か1年食べたくない。そう言うのが本当に美味しいのだとおしゃったとき、その後に私が本間先生はこう言われたが本当に美味しいものは、今日食べて明日食べても毎日食べたいものですよ、と言いました。
-
本間: 私は、美味しすぎるものはって言ったんですよ。本当に美味しいものは繰り返し戴いても飽きない。だけどあまりにも手を加えて美味しすぎるものはあきると。この美味しすぎると言う表現が中々分かってくださる方がいない。いじくりまわしたというニュアンスです。
-
中嶋: そうでしたか。その時あれはグルタミン酸ソーダをつかったと言う話でした。作物の中で本当に美味しいのは、旨味のあるアミノ酸にはグルタミン酸ソーダもあればイノシンもあるし、その他たくさんの旨味のあるアミノ酸がある。それを我々が分析してみるとそう言う旨味のあるアミノ酸が全部上昇している。だから非常に奥行きがある。そう言うのはいくら食べても飽きない。だからと言って食べ過ぎてはいけない。それで体に良いのです。講演が終わってから一緒に食べてみましょうと、果物や野菜を試食してもらいましたね。元アジア大学總長の衛藤瀋吉先生も居られましたね。
-
本間: 先生の野菜の美味しさと言うのは糖度が高い、 ミネラル分が高いなど…分析して数値に表せるのですね。
-
中嶋: そうです。そうです。ハイ。
-
本間: この野菜はこのような味わいがする、科学的説明もしっかりあって、ただ私が美味しい、あなたが美味しいこちらの人はそうではないと言うのではなく、皆さんが納得される材料というか、資料がある。
-
中嶋: そして私は今、旨味のあるアミノ酸と言いましたがミネラルの含有量が多くなるのです。ミネラルも味蕾を刺激して官能に味を意識されているのだと思うのです。味の素の役員会にこの前話をしてくれと言われた時、あなた方はコンブの中のグルタミン酸ソーダを味の素といっているが味のもとにはまだ色々な物がありますよと。それだけに一つのことだけ一生懸命みなさんやっていては時代遅れですよ。と役員を集めて話をしました。今ずいぶん味の素も変わりました。効果的なアミノ酸の研究をだいぶやっています。だからいのちというものは、減農薬とか安全性とか安心とか最近言ってますけど本来は、美味しいと言う本物で人間の体に良いもの。味覚と言う官能を満足させるようなものそれが供給されると、それは大体本当に完璧なものですから安全で安心なのですね。安全で安心が先でなくて、美味しいことが先なんです。これが今間違えているのです。農薬なくしてはできないのが、当たり前だと言う錯覚を持っている。だから人間の生活でも病気をしたら、医者に行くのが本当だと皆思っている。だから自分が摂生したら病気しないし、昨日の生活、おとといの生活何日前の生活が悪くて今こう言う病気になっている。そう言うところを自制していれば自然に治るわけです。自然界の動物の中には医者はいないのです。
-
本間: 自然治癒力と言うのは、動物に本来備わっているのですね。
-
中嶋: そうです。だから植物も人間はただお手伝いしてあげれば良いのです。自分が、俺が栽培しようなどと思うから大間違いで、植物は土が非常に健康な所に播種されると大量なエネルギーと豊富な水で育っていく。自分が作ったと言って米1粒でも、トマト1つでも人間がこれを合成しようとすれば何億かけても出来ないのです。しかし自然な力によって植物が育ち、とても健康に生きることが出来ますね。人間がその営みに対して何をお手伝いすればもっと健康になるのか。それはやっぱり科学的に分析して調べ、ここに原因があったんだと、それを直してあげましょうとそう言う心掛けに変わらなくては。私は中嶋農法と言うけれど別に農法と言うのではなく、自然の作物の生育をいかに我々が人間としてお手伝いできるか。それには、気持ちだけでなくあくまでも科学的に1兆分の1ミリまで土壌分析して作物を分析して化学的に管理してあげると。足らないものを与えてあげる、あるいは過剰なものは5年も10年も中止させているんですよ。
-
本間: 先生がおひとり根本的に違って居られると思うのは、本物の野菜を食べたい人が美味しいと思ってほしい、それから健康で、まっすぐな心で幸せになってほしいという根本的な愛情が発想の原点なのですね。人間が生きる上に必要な3大要素は日本では衣・食・住と言いますが、西欧ではまずフーズ、食べ物でしょう。次にシェルターといって住居も衣類も一緒、人間を守るもの、最後の3つ目は目にも見えない手にも触れないもので、LOVEなのです。先生はそれを実践して居られるのだと思うのです。日本の人たちはLOVEと言うと男女の愛のように言いますがそうではなくて人間愛ですよ。
-
中嶋: だから宇宙にいのちがあって、その宇宙のいのちの中の一環として人間も一緒に生活しているのですから、その中には生命の秩序と言うのがあるのです。その秩序の中、人間も植物も一体になって生活をしていけばそれも非常になごやかで、人間対人間のLOVEではなくて作物に対するLOVEもあるのです。愛情があるわけですね。自然のものに対するそう言う慈しみのようなもの仏教では慈悲と言うし、キリストでは愛という宗教的宇宙感情ですか。このようなものが人間にも作物にも一体になって動かなければいけない。
-
本間: そうですね。
-
中嶋: そうすると地球にも争いがなくなってもっと豊かになります。今は実に悲惨な生活をしていますね。金が足らなくなれば自分の子に睡眠薬を飲ませて海の中に突き落とすとか、主人までも突き落とすとか人間のすることではないですね。
-
本間: あの事件もそれだけの年月の食生活がずいぶん関係有りますね。
-
中嶋: 1番関係が有ります。
-
本間: 邪悪な精神を持つということは、食べ物が悪かったから…。
-
中嶋: そうですよ。それはもう食べ物が非常に偏っています。それは特に動物を食しています。肉食を…そうすると肉食動物のようにお互いに噛み合うのです。だからミネラルのバランスが全部崩れているのです。


-
本間: 先生にお目にかかって4年になるのですが、不思議な現象と申し上げたら失礼なんですが年々若返られているのではないですか。
-
中嶋: その通りです。私は70代からだんだん若返ってきました。皆どこでも私が80歳だと思う人はいません。
-
本間: お髪も初めは確かに白くていらして、それからだんだんお髪が増え、今日では更に黒くなっていらしゃるでしょう。
-
中嶋: 50代から白髪が出始め染めていたのです。それから73才くらいの時、眉間に腫瘍が有りまして皆から早く取らないと命に関わるから取りなさいと言われたが、冷凍して1週間に1回づつ削って3週間入院するときれいに取れるといわれましたが、傷がつくのでそれはいやだと思ったのです。なにかいつか機会があったなら、アポトシスといって細胞がある時期に脱落する。たとえばおたまじゃくしのしっぽが切れて蛙になるとか、もみじの葉が落ちる。そう言う現象が生物にはありますので、細胞のDNA分断化が起こってそう言う現象が起きるのです。それにはミネラルが非常に関与しているのです。そう言うものがないかなと見ているうちに、ある中国福建省の塩の分析をした時に非常にバランスの良いのがあってよしこれなら取れるなと確信を持ちました。2%の水溶液を付けて3ヶ月くらいで半分になり3%の液を塗って4ヶ月か5ヶ月できれいに取れた。それからイボでもなんでも取れてしまう。それから今度は、長く染めていたので髪の毛がだんだん抜けてしまって薄くなった。これはちょっとおかしいなと思って、また写真を撮って今度は増やそうと思って毛を生やす方法を考えて、それから染めるのをやめたから一時白髪になった75歳くらいの時から白髪になった。それから髪の毛を黒くしようと思ったので、今だんだん黒くなって1年1年黒くなってきている。だんだん若返ってきている。
-
本間: 『食べ物で若返る』と言うご本を地湧社から出していらして、あの中のことを実践できたら良いなと私も思っております。それで先生の野菜でなくても一生懸命実践しているのですが、これが本当に先生の野菜ですべてが試せるとなったら女性が、エステなどまったく通う必要がないのではないかしら。
-
中嶋: ただで若返りもできますし、食べ物でそういう事が言えるのです。これは和歌山で白浜温泉の太鼓の師匠さんで「コトブキ」と言う料亭の女将さんで「スエ」さんと言う人が、もうだいぶ前のことですがよく和歌山に梅のことで講演に行ったときに病気をしている人は顔を見ると分かるから食べ物が、どう言うものであなたこういう病気をしているんだよ。食べ物をこのように変えなさい。と教えてあげたら皆さんだんだん治っていき、そこの女将スエさんが、肥満で料亭の階段を上がるのがつらかったので、私の所に来て高血圧だと、いいます。直してくださいと言うので教えますと、61歳の時でした。62歳の時にはもうすっかり治って本人が、先生もう1年でこんなにスリムになった。今スリムになって私は体は良くなったが、でも、ガンになったらしいです。と言うからどうしたのといったら、赤いものがあります。と言うので計算してごらんと言ったら生理が始まったのです、と言はれて本当だと言うことで、それから自分でビックリして青春を自分で感じるようになって、62歳の女性が47歳の男性と再婚しました。料亭は息子さんにやって白浜温泉に一戸建てを買ってそこで新婚生活を始めた。
-
本間: 62歳の女性と47歳の男性が…すばらしいなあ!
-
中嶋: 私もそこに招待されましたけれど、新地を歩くと皆私のことを覚えてしまい、芸者さんが全部お辞儀をするようになったのです。それからある日ホテルに、田辺市の市長が朝7時ごろ面会に来ていると、会ってもらえませんか。と言ってきまして、何の用があってきたのかと思ったら、当時市長が72歳くらいでしたか。私も若くして下さいと言って来た。それから教えて若返りましてね。
-
本間: 私の次なる課題ですね。
-
中嶋: 植物も皆私の指導によって若返っていくわけです。植物の場合にはまあ簡単ですが、人間の場合には植物のようにはいかない。食べ物が私のように自由に手に入らないし生活習慣も変えない、長い間の習慣が中々やまないから、その習慣をやめて食事が変わるとやはり若返りますね。老化と言うことを皆さん言われますけれど年ですからといわれますが…物理的時間に拘束されているわけです。物理的時間と、生理的時間がありますが物理的時間というのはグリニッジ天文台の時計が基準で時の流れを1年365日と5時間46分何秒かで区切っているわけです。生理的時間は個体差があって人によって物理的時間に支配されると人間は常に先が見えているような生活ですけれども生理的時間に毎日生活しているとそう言う時間的観念がなくなる。毎日が無限の世界でずっと遊べる、それが私は浦島太郎だと思っているのです。浦島太郎は、助けた亀に連れられ龍宮城に言ってみれば鯛や平目の舞い踊り、ただ珍しく面白く月日の立つのも夢も内。それは生理的時間で過ごしてきたのですね。ふと心が物理的時間に変えると一挙に白髪になって老化した。人間も物理的時間から離れた世界で毎日のいのちと言うものを、楽しみながら毎日を送れば…そのためには自我と言うものをなくして世の為、人の為と言うか皆が幸せになることに、全力投球して毎日やっているとそれに対して多くの人から喜ばれ感謝がおきます。そういう環境の中で過ごすと生理的時間に生きる事が出来る。
-
本間: やはり愛情ですね。
-
中嶋: 物理的時間に生活を持っている人は金銭とか金とかそう言うことに計算ずくめで経済行為の中に生活している人は生理的時間には、入れないのですね。だからやはり人間の本当の世界は永遠の青春を保てると言うならば、生理的時間の中に生きていくすべ、それからそれに対する食べ物をまず変えなければいけないと、私は思います。
-
本間: この頃は食べ物すべて、人間を若く保ってくれると言うものまで含めて健康補助食品と言う名の、タブレットとかカプセルとか、バイアグラじゃないけどある種の薬のようなものにたよろうとするんですが、私もかなり補助食品を過去の年月に頂いたことがあります。でもあれは余り頂くと胃が悪くなる。
-
中嶋: そうでしょうね。
-
本間: かえってよくない。1番望むべき形は食べ物から必要なものが一切自然のものによって取りこまれて吸収することができることですね。
-
中嶋: それはビタミンでもミネラルでもやはり自然の野菜や、果物や、お米、穀物からとった物とああいう健康食品からとった物ではだいぶ吸収率が違うのです。だからダメだとは言いませんが必要な人は、やられて結構ですが本当はすばらしい吸収率を上げるためには、自然のものでなくてはだめですね。
-
本間: 先生の送って下さったいつかのイチゴ本当に甘いのですね。私はあれ以来何回か、イチゴの農家から直接送っていただいて方々に贈ったりもしたんですがあのすばらしい糖度!それから最近戴いた温室みかん。温室みかんと言うのはただ、みかんが珍しい季節にあるというだけで、これまで感激などした事がなかったのですが、あの甘さ!本当に美味しいですね。びっくりした。
-
中嶋: それはメロンなんかも違うのですよ。
-
本間: メロンというものはどこかピリピリするのですがそれがないのですね。
-
中嶋: あれはピリピリするのはエチレンというもので喉を刺すのです。メロンの消費が減ったと言うのは、エチレンの発生が多くなったからなのです。それはいかに収量を上げようかといってチッソ肥料を多くするのです。チッソ肥料が多いとカルシウムの吸収が悪くなる。そうするとエチレンが発生する。作物の無機成分のバランスが正常であればできた作物は人間、動物にとって美味しい。1番困っているのは、私が栽培指導するとイノシシだとか、サルだとかあらゆる野生の動物がその畑に集中してくるのです。キツネがとうもろこし畑に入ってとうもろこしをバリバリ食べる。先生本当に美味しくできるようになったけれど、動物を何とか駆除する方法を教えてくれと言ったので、鉄条網を張ったらどうか、といったら鉄条網をものともしないで突破していく。生命と言うのは命を守る、食べ物をとるすごさで分かる。畑の場合はここはイノシシが出ますか、出ませんか、とまず聞かないと教えられないのです。被害が大きいから。
-
本間: なるほどね。面白い!
-
中嶋: この間福島県に行った時、こういう所で農作業をしたりとか、教えてあげてもいいけれど「イノシシはどうですか」「イノシシはいっぱいいます」という。「それではダメです」と答えました。イノシシはあらゆる物を防御しても踏み倒してでも入ってきますよ。かけがえのない我々の長寿の薬と同じですから、命がけで来ますよね。それを食べないでも臭いでちゃんと知っている。臭いで分かるのです。
-
本間: 嗅覚で…、先生人間の嗅覚は?
-
中嶋: もうダメになっている。本物を見分ける能力がない。私の農法とは、そのように作ったものだから、それがもし私が言うように本物でなかったら、まずいからインチキをやっているとすぐ分かるはずです。


-
本間: 先生、有機農業のお話を、もう一度教えて頂きたいのですが…最近になって私勉強の結果わかったのですが、有機農業のための有機肥料を土中に埋めて物を植えれば、すぐに栄養になって良い作物ができるかと言うとそうではなくて、何年も経って有機物は無機質に変わって始めて植物の根が養分を吸収するのですね。有機の堆肥づくりから始めてみても何年も経たないと畑は完成しないのですね。
-
中嶋: 植物のリグニンと言うのは3年くらいかかるのです分解するのに。セルローズは半年か1年でいきまが未熟な堆肥と言うのは逆に分解するのに有機酸を出しますから作物の根をいためます。だから本当は堆肥工場で完全に有機物が土になってしまったものが、堆肥なのです。それを皆知らないものだから何億とお金をかけて堆肥工場が未熟な堆肥を作っているのです。それを農家に売ろうとする、農家はいやだと…役場や農協が大変なお金をかけて作ったものが売れなくて困っている。それは、国が助成したり色々な事をしているが、一体堆肥工場とはどういうものか知らない。私が指導している堆肥工場とは完璧に25日で土になりますからそう言う堆肥だと見事に土が甦ります。
-
本間: 先生が堆肥作りに目指しているものは、微量要素を使った堆肥ですか?
-
中嶋: いや。自然界の有機物を全部土にし、入れた材料の中にミネラルの含有量がどのようになっているか分からないから出来た堆肥もやはり分析しなければならない。入れる前に投入する資材を分析しなさいと、どういうものと、どういうものをいっしょに入れていくとバランスがどのように良くなるか、と言うところまで堆肥工場でやらなければダメだと…だからかなり完璧な分析工場を1兆分の1まで分析する機械を備えさせています。私が指導しているところは…
-
本間: じゃあもう先生のお野菜はすべて美味しさも栄養価も、立証主義でちゃんと土の分析によって証拠があるのですね。
-
中嶋: ええそうでないと商品にならない。だから分析表がきちんと付いた物でしっかり出来た物を売るのなら私の名前を使っても良いけれど、分析表のない物を業者から買ってきてこれは本物ですと言って売るならば、私の名前を使ってくれるなと…私の分析した証明がついていれば良いですよと…
-
本間: 非常に厳しいですね。
-
中嶋: 厳しいですよ。だから金儲けが主体でなくて、いのちを皆さんに提供していくと言うものならば、どうぞおやり下さい、応援してあげますよと…だけど金儲けのためにこう言ういのちに関わる仕事をされるならそれを私は、拒否しますよと…はっきり言っています。
-
本間: 先生ははっきりしていらして非常に明解で説得力があると思います。うれしいですね。女性の役割は今大変に変わってきていますが、代々いのちを預けられて、家族のいのちを養ってきた性なのですね。そうするとその遺伝子はどんな女の人でも受けついでいて、家中の誰、彼の、健康の心配をして、夫がどうした、子供がどうした、おばあちゃんがどうしたと家族の健康、体調に気を配る。そうするとやはり自分の作る料理が家族の病まで治してしまうという自信があった。この頃は、料理は男性も作りますが、その時に選択眼と言うのかしら、良い素材をどのように選ぶか、それが…今は伝承がたえつつある。その点でも分析の表が付いていると言う事は、これはもうきびしい選択をしていただいたものを自分で料理する事が出来ると言うことで自信回復につながりますよね。私が料理しているものは、栄養価が高いのだと…
-
中嶋: だから結局食べ物がそんなに体に良いのかどうして食べ物で今はいろんな病気まで治るのかと言うと、血液と言うのは体重の13分の1なのです。だから60キロで4,615ccあるんです。その4,615ccが1分間に60回~70回体に心臓から押し出されて廻っているのです。それから寝ている間も動きますから、ドラム缶7本分位の血液がバーと廻ってあらゆる組織を再生していく訳です。だからイチゴの話のように医者が何をしても治らないのが3日で完全に治ってしまうのですね。医者にしてみれば驚異的な事なのです。そう言う治癒力があるのです食べ物には。そう言う事を、私は知っているだけに食べ物の大切さを。またいいかげんなものを売ってもらうと困る。だからいのちを商売としてやるならいいけれどもそうでない、金儲けのためであるならそれは拒否せざるをえない。だからそう言う世界を歩きますと物理的時間から生理的時間に入っていますから、そう言う考えの1つになると非常に楽しいですよ人生は。
-
本間: それからもう1つアメリカの作家で女性なのですが、彼女が言っていた事は、日本人は非常にきびしく物を選んで、美味しいものを的確に料理をして、ほんのポチッとお皿にのせる。その美学を打ち立てたけれども、それが本当に美味しいからそれで日本人は量をそれほど食べなくても満足してしまう。美味しくないものはいくら量を食べても満足しないから多食にならざる得ない。日本人は、それで比較的スリムな状態を保っていられて、アメリカ人には巨大な人が多いと…そう言う事を言った人がありました。これはある程度本質をついていると思いました。
-
中嶋: 先ほど言いました、味覚と言うものも官能の一種ですから官能を満たされれば、わずかな量である程度で良い。量的に沢山取りたいと言うのは、満たされないから量的に沢山取りたい。本当に美味しいと言うのは最初に言われたようにそう言うものなのです。
-
本間: 私はこれまで日本の過去には十分に食べられない時代があり、それで結核が死の病であったりしたので戦後欧米型食卓に近づき、肉・ミルクなど動物質が多くなった。けれどもここまで来るとやはり日本人は、日本の食生活、発酵食品や醤油・味噌・酒などを使った伝統食を基本とした食べ物にあった体を持っている。食生活もそちらにたよった方が健康でスリムでいられる。何年か前からそのように考えるようになりました。
-
中嶋: そうですよ。犬歯は1本づつ4本、門歯は2本づつで8本、小臼歯は2本づつで8本、大臼歯は3本づつで12本、その割合で考えると、肉・魚が1に対して野菜が2それと小臼歯は豆とか木の実ですから、まあ野菜と考えれば3くらいになります。大臼歯は穀類で3ですが木の実とか豆は穀類に近いから5と、そう言うバランスで食べていけば良い。
-
本間: 1対3対5ですね。
-
中嶋: それが本物であれば、そんなに満腹しなくても官能は満たされますから、いつもスリムで効率的で、健康で疲れも知らない。私もずいぶんハードな仕事を続けているけれども疲れがない。
-
本間: 先生の行動を大体伺っているだけで私は疲れてきます。今日山梨にいらしたと思うと、東京に出ていらして朝になると熊本に講演に飛んで、またその夜東京に戻られて全然お疲れにならないのですか?今年の夏は、暑かったので少し心配でした。先生が、これを繰り返していらして大変だと…
-
中嶋: ドイツにこの間1週間いたでしょう、帰ってからずーと仕事をしているから、家族が心配して少しは海外旅行をしたら、休憩したらいいのではないかといわれたが仕事に追われて…
-
本間: 日本は非常に、寝たきり老人その他高齢者についても、子供たちも健康の問題が多くなってきて、地方自治体の予算的にも苦しい状況になりつつありますが、健康な栄養価のすぐれた野菜を沢山戴いて、死ぬ日まで元気でいて、あとはバッタリと…それが理想ですね。
-
中嶋: 死ぬ日まで元気で…だから老人介護と言わないように…自然界の動物には、老人介護はないですから、人間の世界だけですから…今日も厚生事務次官とも話をして来ましたがこれからの厚生、行政と言うものは、いかに医療費がいかに節約されるか、老人介護が要らなくなるか、食生活の面を厚生省も、もう少し真剣に考えなければいけない。と言う話をしたらそう考えていると言っていましたが農水省には、もう少しいかに収量を上げるかだけでなくていかにいのちのある作物を、大衆に与えるかと…そうすると米も古米、古古米にならない。今のは、60キロが4斗2升くらい4斗で60キロが普通だが、本当に良い米は3斗8升で60キロになる。それは断面の細胞を顕微鏡で見ると、全然細胞の密度が違う。そう言うものだったら、アメリカやオーストラリアから入ってきても、国民は美味しいお米があるから、いらないと言うでしょう。ところが今田舎に行くと、稲が全部栄養失調なのです。早くああ言う事がないように土作りを農家が、また農業指導者が自覚しないと。農水省で各農政局を中心に、県関係機関と県JA関係機関を対象に全国でそう言う講習会をやろうと言う事になっています。
-
本間: はじめに土あり。
-
中嶋: そうです。はじめに土あり、野菜は土から、土が元気でないとどうしょうもない。野菜も果物も、はじめに土ありです。
-
本間: ありがとうございました。


